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島津 奨
サイディングボードは、日本の建物の80%のシェアを誇る外壁材です。サイディングの塗装で一番注意する点は、既存のサイディングが"通気工法"と"直貼り工法"のどちらで付けてあるか?です。
工法により使える塗料のタイプが変わってきます。もし、何も知らずに施工すると、塗装後に剥がれや膨れの症状が出てくる可能性があります。
このページでは窯業系サイディング外壁の塗装について、通気工法と直貼り工法の違い、自宅の判別方法、それぞれに適した塗料、シーリング工事の重要性、料金相場まで詳しく解説します。

日本の住宅の約80%で使われている窯業系サイディング。塗装の際に最も重要なのは、「通気工法」と「直貼り工法」のどちらで施工されているかを見極めることです。
なぜなら、
・通気工法なら水性と溶剤系どちらの塗料も使える
・直貼り工法で水性塗料を使うと、塗膜の剥がれや膨れ、サイディング腐食のリスクがある
・工法を確認せずに塗装すると、1〜3年で塗膜が剥がれる深刻なトラブルにつながる
このページの結論を先にお伝えします。
・2000年4月の建築基準法改正以降の建物は通気工法が主流
・自宅の築年数と外観で工法を推測でき、確実な判別は業者の調査で
・直貼り工法には溶剤系塗料または専用の透湿性塗料を使用
・シーリング工事を必ずセットで実施
このページでは、両工法の違い、判別方法、適切な塗料選び、サイディングの劣化症状、料金相場までお伝えします。
サイディングとは、工場で生産されたパネル状の外壁材を建物の外壁に貼り合わせて施工する外壁材です。
多様なデザインが揃っており、さらにモルタルのように技術による差が出にくいため、品質も安定しているというメリットがあります。また、取り付けも簡単なので工期が短く、比較的安価に施工できる点も人気の理由です。
新築時にサイディングにする方以外にも、モルタル壁からサイディング材に張り替えるリフォームも多いです。
サイディングには窯業系・金属系・木質系・樹脂系の4種類あり、その中でも国内のシェアの80%以上を占めているのが窯業系サイディングです。
■窯業系サイディング
・最も普及している外壁材
・主原料は、セメント質と繊維質原料
・耐震性、耐火性に優れている
・デザイン(レンガ調、タイル調、木目調)とカラーが最も豊富
・施工費用:4,000~6,000円/㎡
■金属系サイディング
・窯業系サイディングの次に普及している外壁材
・断熱性に優れている
・軽いので、カバー工法で採用されることが多い
・施工費用:3,000~5,000円/㎡
■木材系サイディング
・断熱性が高い
・吸水性が高い
・施工費用:2,000~3,000円/㎡
■樹脂系サイディング
・アメリカで主流のサイディングで日本では少ない
・シーリングを使わないで施工できる
・軽量なのでカバー工法に向いている
・施工費用:3,000~4,000円/㎡
ほとんどのメーカーのサイディングボードには、厚さが12mm・14mm・16mmの3種類あります。
今塗り替え時期に差し掛かっている物件は12mmタイプが多いのですが、約10年前のJIS規格の改正で、現在は法的に14~16mmのサイディングしか使用できません。
14mmと16mmを比べると、14mmの方が価格は安いです。16mmは価格が高くなりますが、凹凸が立体的で高級感があり、断熱性も少し高めでヒビ割れや劣化に強い特徴があります。
設置方法に関しては「釘留め工法」「金具止め工法」の2種類ありますが、しっかりと施工すればどちらの工法でも雨漏りしやすいなどの心配はありません。

サイディングの取り付け方には「通気工法」と「直貼り工法」の2種類があり、塗装の選択肢に大きな影響を与えます。
通気工法は、外側からサイディング材・通気層・防水紙・間柱外部の順に構造されています。
外壁材(サイディング)
↓
通気層(約15〜18mm)← 空気が流れる隙間
↓
防水シート
↓
構造体(柱・間柱)
↓
室内側
建物の外側・内側の温度差によって結露や湿気が発生しても、通気層があることで結露を乾燥させ湿気を外に排出できます。この性質によりサイディングが内部から腐るのを防ぐことが可能です。
塗り替えの際の塗装の自由度も高く、水性・溶剤系どちらの塗料でも使用できます。
直貼り工法には、通気層がありません。
外壁材(サイディング)
↓ ← 隙間なし
防水シート
↓
構造体(柱・間柱)
↓
室内側
直貼り工法にはサイディングと防水紙の間に通気層がないため、結露や湿気を排出することができず、中からサイディングを腐らせてしまうことがあります。
そして、この通気層の有無によって塗装の際に使える塗料が変わり、直貼り工法の場合は水性塗料は使用できません。理由については次項で説明いたします。
通気工法の場合は使用できる塗料に制限がなく、塗装の作業内容も基本的な流れとなりますが、直貼り工法のサイディングは、塗料選びを間違えると深刻なトラブルを引き起こします。
直貼り工法で水性塗料が使用できない理由は、水性塗料の場合は分厚い膜厚が密着する仕上がりになり、通気性に問題が生じてしまうからです。
通気層がないため、外壁材内部からの水蒸気や湿気が分厚い塗膜の影響で排出できず、塗膜剥離や塗膜が膨れて下地を腐らせる要因になってしまいます。
サイディング材内部に湿気が溜まり腐食すると、結果的に外壁材の張り替えが必要になります。
直貼り工法のサイディングの場合は、溶剤系(油性)塗料や透湿性塗料が適しています。透湿性塗料とは、水分を排出できる性能を持つ塗料のことで、湿気が逃げにくい構造の直貼り工法には有効な選択と言えます。
注意点として、溶剤系(油性)塗料は希釈の際にシンナーを使うため、臭いが強いというデメリットがあります。
臭いが気になる方や小さなお子様、ペットがいる場合などはホテルやご友人の家に泊まったり、塗装作業のタイミングについて事前に業者と相談しておくことが大切です。
■シーリング工事は打ち替え必須
直貼り工法の建物は築年数が古いため、シーリングの劣化が進んでいることが多いです。そのため、打ち替えで完全に新しいシーリング材に交換する必要があります。
■サイディング自体の劣化チェック
直貼り工法は内部腐食のリスクがあるため、現地調査でサイディングの状態をしっかりと確認することが重要です。内部腐食が進んでいる場合は、塗装ではなく、カバー工法または張り替えを検討する必要があります。
■必ず経験豊富な業者に依頼
直貼り工法の塗装は専門知識が必要です。経験の浅い業者は適切な塗料選びを誤るリスクがあります。
直貼り工法だと判明している場合や、築年数から見て直貼り工法かもと思われる方は、直貼り工法の施工経験がある業者を選ぶようにしましょう。
サイディング外壁に出やすい劣化症状を知っておくと、適切な塗り替え時期を判断できます。の主な劣化症状は以下のとおりです。
特に注意が必要なのは、シーリングの劣化です。シーリングとは、外壁材と外壁材の溝やサッシ周りの隙間を埋めるゴム状の建築材を指します。
シーリング材が劣化してくるとひび割れ・痩せ・剥離を起こし、劣化箇所から雨水が入り込んで外壁材内部の劣化につながります。
外壁塗装を行う際は、シーリング補修も合わせて実施するのが一般的です。
外壁を直接手で触ると白い粉が付く状態をチョーキング現象と言います。この粉は塗料に含まれる顔料が劣化し、粉状になって表面に出てきたものです。
すぐに塗膜が剥がれたり、雨漏りに発展するような症状ではありませんが、塗料の性能が低下してきているサインにはなりますので、チョーキング現象を起きたら塗装を検討し始める時期と覚えておくようにしましょう。
サイディングが浮き上がっていたり、反っている状態です。浮きや反りによって生じた隙間から雨水が浸入すると下地の腐食や雨漏りの原因となるため、早急なメンテナンスが必要です。
直貼り工法の場合、内部湿気が原因のことも多いため、必ずプロに状況を調査してもらい、場合によっては張り替えも検討しましょう。
サイディング自体にひび割れや欠損が見られる場合も、早急なメンテナンスが必要となります。発生原因はいくつか考えられますが、構造的な劣化の進行や飛来物による衝撃などが挙げられます。
サイディングの寿命を迎えておらず、下地の腐食なども起きていなければ、基本的には部分補修+塗装で対応可能です。
特に北側や日陰部分はコケ・藻・カビは発生しやすいです。直ちに大きなトラブルに発展するわけではありませんが、塗膜による保護機能・防水機能が低下している可能性もあるため、一度専門の業者に状況を見てもらうと安心です。
またコケ・藻・カビは高圧洗浄で洗い流せますが、これらが発生する原因を改善しなければ根本的な解決になりませんので、いずれは塗り替えを行う必要があります。発生を抑える為には防藻・防カビ塗料がオススメです。
サイディングを固定する釘やビスの浮きが発生する原因は、経年劣化や内部の湿気膨張などです。
放置していると浮きによって開いた釘穴から雨水が浸入したり、サイディング材自体の浮きや欠損につながってしまいます。そのため、早急に釘の打ち直しを行うことが大切です。
サイディング外壁の塗装で最も重要な工程の一つがシーリング工事です。
シーリングとは、サイディングの目地(ボード同士の継ぎ目)に充填されているゴム状の素材を指します。地震や温度変化による膨張収縮・建物の動きを吸収し、防水機能を担う重要な部材です。
約5〜10年で劣化が始まり、紫外線・温度変化による影響でひび割れや剥がれ、痩せ、硬化を引き起こします。
シーリングの劣化を放っておくと、建物が揺れた際にサイディング材同士がぶつかり合って破損したり、雨水が外壁内部に浸入して建材や下地の腐食を進行させる原因となってしまいます。
■打ち替え
既存のシーリング材を完全に撤去し、新しいシーリング材を充填する方法です。シーリングの劣化が激しい場合は、打ち替えを行うのが一般的です。
新築時と同じ防水性能を回復させられるため、長期にわたって機能を発揮できるメリットがあります。
費用相場:800〜1,200円/m
■打ち増し(増し打ち)
既存のシーリングを残したまま、上から新しいシーリングを足す方法です。 既存シーリングの劣化が少なく、下地の防水シートも活きている場合や、サッシ周りのシーリング補修では打ち増しを行うこともあります。
既存シーリングの劣化が進んでいるところに打ち増しを行うと、早期に新しいシーリングに不具合が発生してしまうため、事前の調査で状態を見極めることが重要です。
費用相場:500〜900円/m
見積もりにシーリング工事が含まれていない、または「打ち増し一式」というような表記のみの場合は要注意です。
塗装と同時にシーリング補修を行うのが基本ですので、シーリングに関して説明の無い業者は信頼性に欠けます。
→ 関連記事:シーリング(目地)の重要性と耐用年数
サイディング外壁の塗装料金は、塗料グレード・建物規模・劣化状態で変動します。一般的な戸建て住宅(外壁面積120㎡)の料金相場は以下のとおりです。
| 塗料グレード | 耐用年数 | ㎡単価相場 | 総額目安(120㎡) |
|---|---|---|---|
| アクリル | 3〜7年 | 1,000〜1,800円 | 約60〜80万円 |
| ウレタン | 5〜10年 | 1,500〜2,500円 | 約70〜90万円 |
| シリコン | 10〜15年 | 2,000〜3,500円 | 約80〜120万円 |
| ラジカル制御 | 12〜16年 | 2,500〜4,000円 | 約90〜130万円 |
| フッ素 | 15〜20年 | 3,500〜5,500円 | 約120〜170万円 |
| 無機 | 18〜25年 | 4,500〜7,000円 | 約140〜200万円 |
下塗りを含む3回塗りの単価です。同じグレードでも、使用する商品・性能によって価格は異なります。
【別途必要な費用】
足場代:10〜20万円
シーリング打ち替え:10〜25万円
ケレン作業:3〜10万円
付帯部塗装:5〜15万円
諸経費:5〜10万円
サイディングの状態によっては、塗装ではなくカバー工法または張り替えが適しているケースがあります。
既存サイディングの上から新しい外壁材を重ね張りする方法です。
既存サイディングの撤去費用が不要なので、張り替えと比べて費用・工期を抑えて外壁リフォームが可能です。また、カバー工法の場合は外壁材が2重構造に変わるため、断熱性・防音性の向上も期待できます。
デメリットは、建物の重量が増加することや塗装に比べると高コストという点が挙げられます。加えて、既存サイディングの状態が悪い場合はカバー工法では対応できません。
費用は施工面積や使用する材料によっても異なりますが、一般的な戸建て住宅で150〜250万円が相場です。
既存サイディングを撤去し、新しい外壁材に交換する方法です。
内部構造の確認・補修が可能なので、劣化や雨漏りを根本から解決できます。下地から生まれ変わるので、新築同様の外観・耐久性を取り戻すことができるのも大きなメリットです。
デメリットは、既存の建材を撤去するため工期が長くなり、費用もかかる点です。外壁リフォームの中でも最も高額な方法になります。
費用は施工面積や下地の状態、使用する材料によって異なりますが、一般的な戸建て住宅で200〜350万円が相場です。
| 塗料グレード | 推奨 |
|---|---|
| サイディング表面の劣化のみ | 塗装 |
| サイディングのひび割れ・浮き多数 | 部分補修+塗装 or カバー工法 |
| 内部腐食・大規模劣化 | 張り替え |
| 直貼り工法で深刻な腐食 | カバー工法or 張り替え |
| 雨漏り発生 | 内部調査後に判断 |
→ 関連記事:外壁塗装以外のリフォームの種類(カバー工法、張替え)と相場
A. 建築時の図面や外観の確認で推測可能ですが、確実な判別は塗装業者の現地調査で行えます。築年数も判別の手がかりになります(2000年以前は直貼り工法の可能性大)。
A. 塗膜の剥がれ・膨れ・サイディング内部の腐食を引き起こす可能性があります。1〜3年で深刻なトラブルになるケースもあるため、必ず避けましょう。
A. 通気層があるため、内部の湿気・水蒸気が外部に排出されます。水性塗料の厚い塗膜があっても、サイディング内部に湿気がこもることがないからです。
A. はい、一緒に行うのが最もコスパが良いです。シーリング工事だけでも足場が必要なため、塗装と同時に行うことで足場代を1回で済ませられます。
A. 可能です。サイディングの塗装で大幅なイメージチェンジができます。カラーシミュレーションで事前確認するとイメージしやすいです。
→ 詳細:カラーシミュレーション
A. 多彩模様塗料は石目調・木目調などの質感を再現できます。ただし、塗装の際に元の模様が完全に消えるわけではなく、塗料の特性で表現が変わります。
A. はい、可能です。既存のサイディング模様を活かしたい場合に有効です。ただし、すでに色褪せが進んでいる場合はクリヤー塗装では美観が回復しません。
A. 浮き・反りはサイディングの構造的な劣化サインです。塗装だけでは解決しないため、補修や張り替えが必要なケースが多いです。プロの現地調査をおすすめします。
サイディングの塗装で一番注意する点は、既存のサイディングが”通気工法”と”直張り工法”のどちらで付けてあるか?です。
塗装する場合は、通気工法か直貼り工法かで使える塗料が変わります。通気工法は不自由なく水性から溶剤(油性)の塗料を選べますが、直貼り工法は分厚い膜厚が密着する水性塗料は選べません。
もし、直張り工法に水性塗料などの合わない塗料を使ってしまうと、外壁材内部から逃げようとする水蒸気や湿気によって、塗膜剥離や塗膜が膨れて下地を腐らせる要因になります。
現状のサイディングが、”通気工法”と”直張り工法”のどちらかがわからない方は、児玉塗装が調査に伺いますのでお気軽にお問い合わせください。
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