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外壁洗浄だけで本当に大丈夫?知っておくべきデメリットと注意点

藤吉 崇史

最近、外壁洗浄を行う業者が増えています。外壁洗浄は、建物の外壁に付着した汚れ・苔・カビなどを洗い流す作業です。

「今は外壁塗装にお金をかけられない」「できるだけ費用を抑えて建物を綺麗にしたい」という方にとっては、良い選択肢に思えるかもしれません。

しかし、必ずしも外壁洗浄で建物の美観が向上するとは限りませんし、むしろ劣化が目立ってしまう可能性もあります。

今回は、外壁洗浄を行う目的や注意点などを解説していきます。プロの目線から外壁洗浄をオススメできない理由もご説明いたしますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

外壁洗浄とは?3つの方法とそれぞれの違い

外壁洗浄とは、高圧洗浄機や専用の薬剤を使って建物に付着した汚れやホコリ、排気ガス苔、カビなどを洗い流す作業のことです。基本的に、軽度な汚れに効果的な方法となります。

汚れや苔を放置していると美観が損なわれるだけでなく、建材の劣化が進行したり、雨漏りリスクが高まる可能性もあるため、建物を清潔に保つことはとても大切です。

主に以下の2つの方法があります。

高圧洗浄(水のみ)

単価:㎡あたり100~200円

高圧の水流で汚れを物理的に除去する方法です。プロ用機器は15Mpa(150kg/cm²)の水圧で、家庭用ケルヒャー(6〜8Mpa)の倍の威力があります。

ホコリ、排気ガス、軽度の苔など基本的な汚れ除去は、水飲みの高圧洗浄で問題ありません。ただ、根が深いカビや頑固な藻を完全に洗い流すのは難しい場合もあります。

バイオ洗浄(薬剤+水)

単価:㎡あたり200~300円

専用のバイオ洗剤でカビ・コケの菌を分解・殺菌した後、高圧洗浄で洗い流す方法です。

カビ、コケ、藻など菌類による汚れに強く、菌の根まで除去できるため再発しにくいメリットがあります。ですが、費用が高圧洗浄の1.5〜2倍程度とやや高めです。

→ 関連記事:外壁・屋根塗装で行われる高圧洗浄の必要性と費用・相場

外壁洗浄のメリットとデメリット

外壁洗浄を行うメリットは、工期や費用を抑えて建物の見た目を改善できる点です。特に、日当たりの悪い場所は苔やカビなどが生えやすいため、汚れを除去することで建物全体が明るく清潔に見え、印象を大きく変えることもできます。

しかし、安易に外壁洗浄を行ってしまうと、かえって汚れが目立ってしまう恐れがあるため、注意が必要です

また、洗浄だけでは、劣化の根本的な原因を解決することはできないので、外壁洗浄のデメリットや注意点をしっかりと理解しておくことが重要となります。

メリット

費用が安い 戸建て住宅で5〜20万円程度
工期が短い 1〜2日で作業が終わる
見た目の改善 コケ・汚れの除去で建物が明るく
生活への影響が少ない 養生・足場の負担が軽め

デメリット

塗膜劣化は解決しない チョーキング・剥がれ・ひび割れはそのまま
逆に劣化が目立つことも 汚れが取れることで色褪せ・劣化が見えてくる
効果が長続きしない 防汚機能が落ちていれば1〜2年で再発
防水機能は復活しない 建物保護の機能は塗装でしか回復しない
誤った使い方で外壁を傷める シーリング破損、外壁材の損傷リスク

「全体が汚れていたから目立たなかった色褪せや劣化」が、洗浄後に逆にハッキリ見えて後悔するケースは少なくありません。事前にプロの診断を受けるようにしましょう。

外壁洗浄を業者に依頼するのをオススメできない理由

劣化部分が目立つ可能性がある


洗浄をして汚れが落ちたことによって、ひび割れや塗膜の浮き・剥がれなどがはっきりと見えるようになり、逆に劣化部分が目立ってしまうケースがあります

汚れやコケなども美観を低下させる原因となりますが、ひび割れや塗膜の劣化も建物の美観に大きな影響を与えます。

汚れを落とすことで、本来隠れていた劣化が表に出てきてしまう可能性があることは覚えておくようにしましょう。

思ったほどキレイにならないケースが多い


外壁洗浄は、ただ表面の汚れを落とす作業ですので、チョーキング現象や浮き・剥がれ、色あせといった劣化による美観の低下は改善されません。そのため、「思っていたよりも綺麗にならない…」というようなケースもあります。

チョーキング現象とは、外壁に白っぽい粉が付着する現象のことで、塗膜が劣化して粉状になっている状態です。

洗浄だけでは塗膜の劣化を回復させることはできないため、劣化によって生じるチョーキング現象を抑えることもできず、さらにチョーキングの粉による美観の低下も止められません。

また、すでに塗膜の浮きや剥がれ、色あせが発生している場合も、外壁洗浄だけでは解決できません。洗浄で綺麗になるどころか、水圧によって剥がれがさらに進行する恐れもあります。

洗浄の目的は建物を綺麗にすることかと思いますが、洗浄だけですべてを綺麗にするのは難しいです。

劣化の根本的な解決にはならない


前述のとおり、チョーキングや浮き・剥がれ、色あせなどの劣化は、外壁洗浄だけでは直りません

見た目が良くならないばかりか、場合によっては劣化範囲が拡大する可能性もあります。

劣化を放っておくと建材や下地の腐食、雨漏りの発生などのトラブルに発展するため、塗装によるメンテナンスが必要不可欠となります。

高圧洗浄によるダメージ


ご自身で高圧洗浄機を使って洗浄したり、知識の少ない業者に依頼をすると、高圧洗浄機の水圧によって外壁材やコーキング材を傷つけたり、既存の塗膜まで剥がれ落ちてしまう恐れがあります

さらに最悪の場合は、ひび割れなどの劣化部分や通気口から水が浸入し、内部の下地ダメージを与えたり、雨漏りを引き起こす危険性もあります。

高圧洗浄によるリスクを回避する為にも、業者選びの際は「外壁洗浄だけだから」と軽く考えずに、業者の実績や口コミなどもしっかりとチェックしておくことが大切です。

コストパフォーマンスが悪い


洗浄自体は、塗装よりも費用が安く済みますが、いずれは塗装工事が必要となるため、結局は「外壁洗浄」と「塗装工事」の費用がダブルでかかってしまうことになります。

また、洗浄による効果は一時的なもので、数年ですぐに汚れが付着するため、その都度費用をかけて洗浄を行うのも現実的ではありません。

このように、長期的な視点ではコストがかかる可能性が高いと言えます。

塗装は費用がかかる工事ですが、劣化部分を改善して綺麗に塗り直すことができ、さらに塗膜の耐久性を回復させることができるため、美観や性能の向上において塗装が一番の近道と言えるでしょう。

外壁洗浄が向いているケース


外壁洗浄が向いているケースを挙げるとすれば、「築5年未満で劣化しておらず、苔が酷いだけの建物」です。

築年数が浅く塗膜がしっかりしており、劣化もみられない場合であれば、洗浄をしても劣化が目立つこともなく、綺麗な状態を取り戻すことができる可能性があります。

反対に築年数が浅い建物でも、苔以外にも頑固な汚れや塗膜の劣化が起きている場合は、外壁洗浄だけでは問題を解決するのは難しいでしょう。

外壁洗浄の費用相場と「足場代」の落とし穴

戸建て住宅で外壁洗浄する場合の費用相場は以下の通りです。ただし、別途足場代、水道代、養生費がかかります。

足場代(2階以上):10〜20万円
水道代:お客様負担
養生費:1〜3万円

建物規模 外壁面積目安 高圧洗浄のみ バイオ洗浄
20坪 約80㎡ 1〜3万円 3〜5万円
30坪 約120㎡ 2〜4万円 4〜6万円
40坪 約160㎡ 3〜5万円 5〜7万円
50坪 約200㎡ 4〜6万円 6〜8万円

足場代の落とし穴

洗浄でも2階以上の作業には足場が必要で、塗装と同じ足場費用がかかります。

つまり、
洗浄のみ:洗浄費5万円 + 足場15万円 = 20万円
塗装:塗装80万円(足場代込み)

数年後にまた塗装が必要になれば、足場代を二重に支払うことになります。長期的なコストで考えると、塗装時期が近い建物では「洗浄→数年後に塗装」より「最初から塗装」のほうが安く済むケースが大半です

→ 関連記事:外壁・屋根塗装で使う足場の種類と費用

「洗浄だけでOK」を強く勧める業者には要注意

訪問販売などで「外壁洗浄だけ」を強く勧める業者が増えています。以下のパターンには注意してください。

異常に安い金額(「1万円ポッキリ」など)
→ 後で追加請求の可能性

築10年以上なのに「塗装不要」と断言
→ 専門知識不足か営業トーク

事前調査なしの即日施工
→ 品質・安全性に疑問

家庭用洗浄機を使用
→ 効果が薄いことを承知の上の手抜き

バイオ洗浄の薬剤を洗い流さない
→ 新たなカビ発生の原因に

「足場代無料」を強調
→ 別項目に上乗せされている可能性大

信頼できる業者に依頼する為には、事前調査・診断を行ったうえで洗浄だけでなく塗装の選択肢も提示し、費用の内訳も明確な業者を選ぶようにしましょう。

さらに過去の実績・施工事例、アフターフォローの有無も確認しておくと安心です。

外壁洗浄を自分でやる方法

ブラシやスポンジを使う


軽度な汚れであれば、自分で洗浄しようと考えている方もいるかと思います。その場合は、ホースなどで外壁に水をかけるだけでも、ある程度の汚れやホコリを取ることができます。

また、水で落としきれない部分はブラシやスポンジを使用するのも効果的です。ただし、ブラシやスポンジを使用する場合は、強く擦って建材を傷つけないように気を付けましょう

さらに、必要に応じて洗剤を使用するケースもありますが、その際は洗剤が残らないようにしっかりと洗い流すことが重要です。洗剤が残ると、変色やカビなどの原因となってしまいます。

高圧洗浄機を使う


家庭用の高圧洗浄機であれば、頑固な汚れでも短時間で高い水圧で汚れを除去することが可能です。

ただ、扱いに慣れていない場合や外壁材の状態によっては、塗膜や建材を傷つけてしまう恐れがあるので注意しなければなりません。

また、目地部分などの隙間やクラックから水が入り込むと、建物内部に大きなダメージを与えてしまい、建材の腐食や雨漏りの発生などに繋がってしまいます。そのため、高圧洗浄を使用する際は、正しい知識を持って行うことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分で家庭用の高圧洗浄機で外壁を洗ってもいいですか?

A. 軽度の汚れであれば可能ですが、リスクもあります。水圧が強すぎるとシーリングや外壁材を傷める、室内に水が浸入する、2階の作業で転落するなどの危険があります。広範囲・高所はプロに任せましょう。

Q2. 洗浄後どれくらいで汚れが再発しますか?

A. 塗膜の状態によります。塗膜の防汚機能が残っていれば3〜5年、劣化していれば1〜2年で再発することもあります。

Q3. 屋根の洗浄もできますか?

A. 可能ですが、屋根は外壁より劣化しやすく、洗浄だけで済むケースは限定的です。スレート屋根のコケなどは洗浄で改善できますが、ひび割れや反りがあれば塗装・補修が必要です。

Q4. バイオ洗浄の薬剤は人体や植物に害がありますか?

A. 一般的な業者用バイオ洗剤は安全性に配慮された製品が多いですが、念のため作業中は窓を閉め、ペット・植物を退避させるのが安心です。事前に業者に薬剤の種類を確認しましょう。

Q5. 洗浄と塗装、どちらを先にすべきですか?

A. 塗装する場合、その工程には高圧洗浄が必ず含まれます。そのため、塗装を前提とするのであれば、わざわざ別で洗浄する必要はありません。

Q6. マンション・アパートでも洗浄だけで済みますか?

A. 大規模修繕の計画と照らし合わせて判断します。長期修繕計画では12〜15年周期で塗装を行うのが一般的なため、その間の中間メンテナンスとして洗浄が有効なケースはあります。

まとめ

外壁洗浄は、ある程度の汚れや苔を除去することはできるかもしれませんが、根本的な劣化の解消には繋がりません。剥がれやチョーキング現象などの劣化症状が見られる際は、塗装によるメンテナンスが必要となります。

また、費用を抑えて綺麗にしたいとお考えの方は多いかと思いますが、外壁洗浄だけで済ませると、かえって劣化部分が目立ったり、外壁材やコーキング材を傷つけてしまう可能性もあります。

外壁洗浄をご検討中の場合はしっかりとメリット・デメリットを理解し、信頼できる業者と相談しながら、必要に応じて塗装や補修といったメンテナンスも行うようにしましょう。

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