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島津 奨
ご自身が住まわれているお家の外壁が何の素材かご存知ですか?
外壁は、サイディングボードやモルタル、ALC、コンクリートや板金等多くの種類があり、性能や機能、見た目が異なります。
このページでは、ALCパネルの特徴、メリット・デメリット、適した塗料、シーリング工事の重要性、塗装料金相場まで詳しく解説します。

ALCパネルは軽量・耐火・断熱性に優れた高性能な外壁材ですが、吸水性が高いという特性のため、塗装には特別な配慮が必要です。
このページの結論を先にお伝えします。
・ALCは内部が気泡だらけで水を吸いやすい
・専用の下塗り材(微弾性フィラー等)が必須
・弾性系塗料や透湿性のある塗料が推奨
・目地シーリングが劣化すると深刻な雨水浸入リスク
・一般的な戸建てで塗装料金は100〜180万円が相場
ALCの塗装で誤った塗料を使うと、塗膜の剥がれ・膨れ・パネル内部の腐食といった深刻なトラブルにつながります。このページでは、ALCの特性、適切な塗装方法、料金相場などをお伝えします。
ALCは「Autoclaved Lightweight Concrete(オートクレーブ養生軽量気泡コンクリート)」の略です。日本語では「軽量気泡コンクリート」と呼ばれます。
珪石(けいせき)・セメント・生石灰などを混ぜ合わせ、アルミニウム粉末(発泡剤)を加えて気泡を発生させることにより、内部に多数の気泡を含む軽量パネルが完成します。
この製造工程により、ALCは「軽石のような構造」を持つ独特な外壁材になります。
近年のALCパネルは意匠性にも優れ、平滑な仕上げやラインの入った仕上げ、凹凸のあるテクスチャ、木目調・石目調など、多様なデザインが選べます。
また、ALCは他の外壁素材に比べて厚みがあるのも特徴です。厚さは75ミリメートル以上の「厚型パネル」と50ミリメートル以下の「薄型パネル」の2種類あり、それぞれ用途が異なります。
一般的に、厚型パネルは鉄筋コンクリート造(RC造)の建物やビル・マンション、大型施設などに用いられています。
断熱性・遮音性が非常に高く、鉄筋が内蔵されているため、構造の主要部材としても優れた機能を発揮します。
薄型パネルは、主に木造住宅や鉄骨造(S造)の戸建て住宅に使用されています。
軽量で扱いやすく、戸建て住宅の外壁材として主流のタイプです。メッシュ補強材入りのものが一般的です。
ALCは、内部に気泡が多く存在するため、コンクリートの約1/4の重さと非常に軽量です。軽量なALCを採用している建物は、重量が軽く、地震が起きても揺れが少ないので、耐震性にも優れています。
反対に重量がある建物は、地震が起こった際の揺れに弱く、建物に大きな負荷がかかってしまいます。
無数の気泡が断熱層として機能するため、屋外の温度の影響を受けにくく、高い断熱性能を発揮します。この効果により、夏は涼しく過ごし、冬は暖かく過ごすことができます。
主原料であるコンクリートは無機質素材で燃えにくい特徴があり、ALCは国土交通省の不燃材料として認められています。
また、火事が起きても煙が出にくく、内部の気泡(多孔質)が層になっているので、熱が伝わるのも抑えてくれます。
ALCは、音を反射する性質と内部の細かな気泡(多孔質)が音を吸収してくれる性質により、高い遮音性が期待できます。
外部の騒音を遮断するので、戸建て住宅の場合でも静かな住環境を作ることに貢献します。
モルタル外壁などのように現場で外壁を作っていくわけではなく、工場で生産されたパネルを貼り付けていく工法のため、製品の品質が安定しているのも特徴のひとつです。
ALCは耐久性が高く、経年で強度が落ちにくい外壁材です。ただし、定期的な塗り替えや補修は必要です。適切なメンテナンスを行うことで50~60年持ちます。
最大のデメリットと言えるのが、水に弱いという点です。内部の気泡によって水を吸い込みやすくなり、吸水すると凍害・劣化の原因になってしまいます。
ALCのような吸水しやすい材質は、塗装で防水性を補うことが非常に重要です。定期的なメンテナンスと塗装の質がパネル寿命を左右します。
サイディングやモルタルと比較すると、価格が高いというデメリットもあります。
耐用年数は長いですが、施工時のコストやメンテナンス頻度なども考慮して外壁材を選択することが大切です。
ALCはパネル数が多く、目地も多い外壁材になります。目地にはシーリングと呼ばれるゴム状の部材が充填されており、シーリングはALCを衝撃から守ったり、雨水の浸入を防ぐ役割を果たしています。
シーリングも定期的な補修が欠かせないため、目地が多ければそれだけメンテナンス箇所も多くなります。
軽量で気泡があるため、強い衝撃で欠けたり、ボールや物がぶつかると損傷する可能性があります。
角部(コーナー部分)は特に欠けやすく、欠けた箇所から水が浸入し、内部の鉄筋が錆びるリスクもあります。
一部だけの交換が困難で、パネル単体での色合わせが難しく、部分補修では既存部分と色差が生じやすいデメリットがあります。
モルタル・パテ等の補修材を使用しても、素材の質感や表面テクスチャの再現が難しいため、基本的には全面塗装でのメンテナンスを行います。
ALCの位置付けを理解するため、他の主要な外壁材と比較してみましょう。
【外壁材の主要特性比較】
| ALCパネル | 窯業系サイディング | モルタル | |
|---|---|---|---|
| 軽量性 | ◎(最軽量) | ○ | △ |
| 断熱性 | ◎ | △ | △ |
| 耐火性 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 遮音性 | ◎ | ○ | △ |
| 耐久性 | ◎(50年〜) | ○(30〜40年) | ○(30年程度) |
| 吸水性 | 高い(要対策) | 低い | 中程度 |
| シーリング箇所 | 多い | 多い | ほぼなし |
| 意匠性 | ○ | ◎(多彩) | ○(自由設計) |
| 価格 | 高い | 中程度 | 中程度 |
| 塗装の頻度 | 10〜15年 | 10〜13年 | 8〜12年 |
ALCはサイディングと比べて重厚感があるのが魅力です。さらに耐久年数が長く、断熱性能や遮音性、耐震性に優れている特徴もあります。ただ、価格が高い点がデメリットとして挙げられます。
ちなみに国内の外壁材のシェア率は、ALCが3%と非常に少なく、窯業系サイディングはシェア率1位を誇り70~80%を占めています。
・断熱や遮音性を最重視
・耐火性を求める
・長期使用を予定
・予算に余裕がある
・ヘーベルハウスを建てる
・コストを抑えたい
・多彩なデザインを楽しみたい
・一般的な住宅で十分
・施工期間を短くしたい
ALCパネルに出やすい劣化症状を知っておくと、適切な塗り替え時期を判断できます。
シーリングは紫外線の影響によって劣化し、目地のひび割れ・痩せ・剥離を引き起こします。
劣化を放置していると一気防水機能が低下し、雨水が内部に浸入して雨漏りの危険性が高まります。そのため、シーリング劣化が見られる場合は早急な対処が必要です。
一般的には外壁・屋根塗装と合わせてシーリング補修も実施します。
チョーキング現象とは、外壁を直接手で触ると白い粉が付く現象を指します。
早急な対処が必要というわけではありませんが、塗膜劣化の初期症状となりますので、塗り替えを検討するタイミングと理解しておくようにしましょう。
経年劣化やシーリングの劣化による影響、地震や走行車の振動などによる建物の揺れによって、パネルにひび割れが生じるケースもあります。
ひび割れをそのまま放置しておくと、雨水が浸入して雨漏りやALC内部の腐食につながるため、早めに補修をして雨水の浸入を食い止めることが重要です。
塗膜の膨れは、塗膜内部に含まれる水分によって発生します。
内部に水分が溜まる理由がいくつかあり、前回の塗装時に高圧洗浄の水や塗料の乾燥が不十分だった、微細な塗膜のひび割れから雨が浸入した、透湿性のない塗料を使った等が考えられます。
そして、ALC内部の水分が逃げ場を失うと、内側から塗膜を押し上げて剥がれ・破れに発展します。
塗膜の膨れ・剥がれは塗料の性能が失われている証拠であり、雨漏りの危険性も高い状況です。早急に適切な塗料での塗装が必要です。
コケや藻・カビは日当たりの悪い北側や湿気が多い場所、表面がザラザラしている外壁に発生しやすいです。
吸水したALCがカビの温床になっている可能性もありますので、症状が目立つようであれば一度、専門業者に状況を確認してもらうと安心です。塗装の際は、防藻・防カビ塗料を使用するのがオススメです。
長期間の水分浸入による内部劣化により、パネルが脆くなったり、欠けてしまう場合があります。また、施工時にタイル裏面のモルタルが不足していると、タイルの浮きや剥落が発生することもあります。
これらを放置していると雨漏りの発生や建物の耐震性低下、パネルの落下による事故などといったトラブルに発展する恐れがあるため、直ちに対処することが大切です。
塗装では対応できないため、パネルの交換を行い、必要に応じて下地の修繕工事も合わせて実施します。
ALCの塗装は、下塗り材の選定が品質の決め手となります。
ALCは、塗料を吸い込みやすいため、微弾性フィラーやホワイトフィラーといったドロッとした下塗り塗料で、しっかりと吸い込みを抑えてから塗装を施していきます。
これらの下塗り材は、微細なひび割れを埋めたり、弾性を兼ね備えているので追従性に優れている特徴があります。微弾性フィラーはALC塗装ではよく使われる下塗り材です。
ALCはひび割れが起きやすい特性があるため、弾性のある塗料が追従できることが重要です。
固い塗料は追従する力がないため、外壁にヒビ割れが起こってしまったときに塗膜も同時に割れしてしまい、防水性が一気に低下する原因となります。
そのため、少しでも追従力がある弾性系塗料をオススメします。
ALC塗装で最も重要なのがシーリング工事です。
ALCはパネル数が多いため、目地も多く存在します。目地部分に施されているシーリングが1つでも劣化すると雨水浸入のリスクが大きくなります。
もしシーリングが劣化して雨水が浸入すると、ALC内部に水が染み込んで腐食が進みます。そのため、シーリング工事が必要不可欠なポイントです。
シーリング工事の種類には以下の2種類あります。
打ち替えは、既存のシーリング材をすべて撤去してから、新しいシーリング材を充填する方法です。シーリングの劣化が激しい場合は、打ち替えを行うのが一般的です。
完全にシーリングを新しいものに交換できるので、防水機能や耐久性も復活させることができます。
費用相場:800〜1,200円/m
打ち増しは、既存のシーリングを残したまま、その上から新しいシーリングを足していく方法です。
既存シーリングの劣化が少ない場合や、サッシ周りのシーリング補修では打ち増しを採用することもあります。
費用相場:500〜900円/m
→ 関連記事:シーリング(目地)の重要性と耐用年数
ALCの塗装料金は、塗料グレード・建物規模・劣化状態で変動します。
専用下塗り材や微弾性塗料が必要であったり、シーリング箇所が多いことから他の外壁材の塗装に比べて費用が高くなるケースもあります。
| 塗料グレード | 耐用年数 | ㎡単価相場 | 総額目安(120㎡) |
|---|---|---|---|
| ウレタン | 5〜10年 | 1,500〜2,500円 | 約80〜100万円 |
| シリコン | 10〜15年 | 2,000〜3,500円 | 約100〜130万円 |
| ラジカル制御 | 12〜16年 | 2,500〜4,000円 | 約110〜140万円 |
| フッ素 | 15〜20年 | 3,500〜5,500円 | 約140〜180万円 |
| 無機 | 18〜25年 | 4,500〜7,000円 | 約160〜200万円 |
下塗りを含む3回塗りの単価です。同じグレードでも、使用する商品・性能によって価格は異なります。
【別途必要な費用】
足場代:10〜20万円
シーリング打ち替え:10〜25万円
ケレン作業:3〜10万円
付帯部塗装:5〜15万円
諸経費:5〜10万円
A. ALCは厚みがあり、内部が気泡だらけの軽量コンクリート、サイディングは薄いセメント板です。ALCは耐火・断熱性に優れますが、コストが高く吸水性も高め。塗装でより専用塗料が必要になります。
A. 使えますが、透湿性のある専用塗料を選ぶ必要があります。透湿性がない塗料を使うと、ALC内部の水分が逃げ場を失い、塗膜の膨れ・剥がれを引き起こします。
A. 10〜15年が目安です。チョーキング・シーリング劣化・色褪せなどのサインが見られたら、塗り替えのタイミングです。
A. 可能です。シーリングの寿命は5〜10年程度で、塗装より早く劣化することがよくあります。ただし、足場代がかかるため塗装と同時の方がコスパが良いです。
A. 小さなひびは弾性塗料の塗装で対応可能です。大きなひびや構造的なひびは、塗装前に専用補修材での補修が必要です。プロの現地調査で判断してもらいましょう。
A. 軽量なため建物全体への負担が小さく、耐震性に貢献します。ただし、地震の揺れでパネル自体や目地に損傷が出る可能性はあります。
A. はい、効果があります。ALC自体が断熱性に優れますが、遮熱塗料を組み合わせることで夏場の室温をさらに低下させられます。
A. もちろん可能です。色を変える際は面積効果を考慮し、塗り板で実物確認することをおすすめします。
→ 詳細:失敗しない外壁・屋根塗装の色(配色)選び
A. 部分的な交換は技術的に可能ですが、コストが非常に高く、施工も難しいです。複数枚以上の交換が必要な場合は、カバー工法などの選択肢も検討しましょう。
ALCのメリットは、軽量なので地震に強い、材質的に燃えにくい、断熱性が高い点で、デメリットは、防水性が低い、価格が高い点があげられます。
防水性が低いため、定期的なメンテナンスが必要ですが、ALCは耐久性が高いのでオススメです。
外壁塗装をお考えの際は外壁の素材にあった塗料を塗装するのが重要になるので、外壁塗装のプロに診断をお任せください。
お気軽に
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