ベランダの手すり・笠木と雨漏りの関係性

笠木とは

笠木とは、住宅のバルコニーの腰壁（サッシの反対側の壁）の上部や、屋上などの立ち上がりの上部に施工されるカバーのようなものです。

一般的には、水平部の板金や樹脂を用いて作られています。主な材質は以下の通りです。

木質系：木材で作られている
セメント系：コンクリート面がむき出しになっている状態
金属系：板金・アルミ・ステンレスなどで作られたカバー状の部材
樹脂系：FRP樹脂で形成されたカバー状の部材

笠木の役割

笠木の一番の役割は、手すり部分や躯体（外壁）に雨水が侵入するのを防ぐことです。

笠木は、見た目をきれいにする「美観性」を求め施工する部材ではありますが、雨や風の影響を受けやすいバルコニーから突出している部分の外壁を保護する目的もあります。

さらに、シロアリなどの被害による腐食から守ることも大切な役割となっています。

手すり・笠木の劣化が雨漏りに繋がる！？

手すりの劣化による雨漏り

手すりは主に金属で出来ていることが多いです。

そのため、鉄を使う手すりの場合はサビや腐食、サビが進行することによって空いた穴から雨水が侵入し、雨水が手すりの中を通って雨漏りに発展します。

また、ステンレスやアルミなどの素材は、手すり支えている支柱の劣化により雨水が浸入したり、手すりの破損が原因で笠木の中に雨水が入り込んでしまうことも多くあります。

笠木の劣化による雨漏り

笠木には必ず「継ぎ目」があります。

その継ぎ目が劣化により口を開いてしまうと、継ぎ目に生じた隙間から壁内に雨水が入り込んでしまいます。

また、笠木の破損・変形が原因で浮きや隙間が発生してしまうことにより、雨水が侵入するケースも多くあります。

手すり・笠木の劣化症状

チョーキング現象

チョーキング現象とは、塗装している部分を直接触った時にチョークのような粉が手に付く現象のことです。

チョーキング現象は劣化の初期段階と言えるため、直ちに対処しなければならないわけではありませんが、塗膜の性能が低下しているサインにはなりますので注意が必要です。

主に金属を使った手すりや笠木は塗装にて撥水処理がされているため、塗装が劣化することで撥水機能の低下し、本体部のサビによる腐食や欠損に繋がってしまいます。

コーキング劣化

笠木や手すりの継ぎ目には、隙間を塞ぐ目的としてコーキングと呼ばれるシリコン系のゴム剤が施工されています。

コーキングは劣化するとひび割れや剥がれなどを引き起こすため、コーキングの劣化によって継ぎ目がむき出しになった状態になると、雨水の通り道ができてしまいます。

サビ

手すりや笠木を押えるために「金属ビス」を使用しています。ビスがサビてしまうと、ビスとビス穴に間に隙間が生じ、そこから浸水する場合もあります。

手すり・笠木のメンテナンス方法

手すりと笠木のメンテナンス方法は、それぞれ使用している材質によって異なります。

手すりのメンテナンス

【鉄素材】
サビが発生している場合やサビの対策として「塗装」が有効です。

【金属素材】
継ぎ目や支柱付け根部のコーキング劣化が発生している場合は、既存のコーキングを新しいものに交換する「コーキング打ち直し」が有効です。

笠木のメンテナンス

【樹脂素材】
継ぎ目やジョイントのコーキングが劣化している場合は「コーキング打ち直し」を行います。

※破損、ゆがみ等が起きている場合は交換工事が必要となる可能性があります。

【金属素材】
樹脂素材と同様に、継ぎ目やジョイントのコーキングが劣化している場合は「コーキング打ち直し」を行います。また、破損時などはカバー工法にて笠木を2重に加工することもできます。

※破損、ゆがみ等が起きている場合は交換工事が必要となる可能性があります。

【コンクリート材】
コンクリート場合は、防水加工をすることで浸水を防ぐことができます。

まとめ

手すり、笠木は建物にとって「雨水の浸水」「腐食」から外壁を守る役割を持つ大切な部位です。

意外とメンテナンスが出来ていないお宅も多く、雨漏りなどの実害が出てからでは大幅な修復工事を必要とすることもあります。

外壁の塗装時やリフォーム時にぜひご相談ください。

その他の「防水層の劣化について」に関するコンテンツ